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「落札後にキャンセルすることはできますか?」
自己都合のキャンセルは保証金返還されず

 「ちょっと高く入れすぎた」とか、「明け渡し交渉にいったら怖いお兄さんがいて、いっぺんでいやになった」とか、「お金が用意できそうにない」とか、せっかく苦労の末に落札したのに、「キャンセルした〜い」っていう人よくいますよねえ。

 でもでも競売物件の場合、そんなに簡単に「や〜めた」なんて言えないんですよ、入札のときだって、「入札したあとの入札のとりやめはできません」って執行官室のおばちゃんに言われたでしょう!!

 競売では入札後のとりやめも、落札後のキャンセルも原則的には許されないのです。きびしい〜。キャンセルすると「代金不納付」といって、保証金は没収、1銭も戻ってきはしません、これまたきびし〜い・・

火災で焼失・・キャンセル可

 でもでも、何事にも「例外」があるものです。競売で落札後にキャンセルしても保証金が戻ってくる「すべ」があります。これが「売却許可決定取消の申立」です。
 これは「この物件に問題があるので、売却許可を取り消して保証金を戻してください」という申立てです。そしてその「問題」が認められるかどうかなのです。

 基本的には競落した物件が競売事件で裁判所が評価した価格と比べて、その問題により著しく相違、乖離があると認められた場合にこの取消申立がとおり売却許可が取り消されることとなります。

 例えば、落札後、まだ代金納付をする前に建物が火事などで焼失した場合などがそれにあたります。ですから落札したからといって、夜も寝ずに見張り番する必要はありませんよ・・

 
 

弐の巻 「3点セットと現況が違う場合」


相違の程度により可否が分かれる

 家が燃えてなくなった、などのケースはちょっと極端ですが、別にそこまでなくても、この売却許可決定の取消が認められる場合があります。それは現況が三点セット記載の内容と著しく異なる場合です。

 事例をあげますと、東京高裁の17年7月6日の判決です。土地面積が3408?で最低売却価額が2182万円とされていた競売物件の買受人が売却許可決定取消を求めて執行抗告した事案です。

 このケースでは実測すると登記簿面積より596.60?少なかったといいます。3点セット記載の8割強の面積しかなかったわけです。
高裁は、当該不動産の現況が著しく小さく、当該不動産の価格が著しく低落しており、これは民事執行法751条1項の「損傷」にあたるとして売却許可決定を取り消しました。


自殺者がある場合はキャンセル可

 この売却許可決定が取り消されるのは、現況が単に3点セットに記載の状況と異なり、「著しく損傷がある」とか「著しく面積が足りない」とかだけではなく、自殺者が出ていて、そのことが3点セットに記載されていない場合でも、です。

 通常の物件に比べて、自殺者が出ているような物件は売却しにくく不動産の価額が著しく下がると見られるのです。
 ただしなんでもかんでも取消できるものではなく、あくまでも「著しく」なわけですから、基本的には3点セットと現況がある程度異なっていても仕方がない、というのが競売物件ですからご注意を。

あけてびっくり玉手箱・・・ってのが競売不動産なのです




ミニ知識

1.保証金は流したら再入札できない
 
 落札して事情により代金納付をせずに、いわゆるキャンセルした場合、その買受人はその物件に限って二度と入札に参加することはできません。
 前に、落札したけど「隣地との境界争いがあるから」という理由で代金を納付せずにキャンセルした人が、次の入札のときに「境界争いが解決したそうだから」といって入札に参加し、最高価であるにもかかわらず失格となったケースがありました。ご注意を。


2.代金納付後の請求は難しい

さて、ぐだぐだと売却許可決定取消について書いてまいりましたが、これが認められるのは代金納付前までに限られますから、これまたご注意を、よく代金納付してから裁判所に文句を言いに行かれる方がありますが、裁判所は「馬耳東風」ですから。

あとは「国のミスで損害が生じた」と国家賠償請求でもかけるか、はたまた、この競売により債権者が本来の金額よりも余計に回収できたと、債権者相手に「不当利得の返還請求」などの裁判を起こすしかないでしょう。いずれも勝つには相当の困難が伴います。

ポイント


 ・自己都合でのキャンセルでは保証金は戻ってこない

 ・3点セット記載の内容と著しく現況が異なる場合は、売却許可決定取消申立で保証金を取り戻そう

 ・売却許可決定取消申立は代金納付する前にしかできない。代金納付後の損害賠償請求は難しい
「落札した物件は空家で、所有者はどこにいったのかわかりません。建物内には家財道具など荷物が放置されています。これらの荷物は勝手に捨ててもよいのでしょうか?」
この質問は正直回答が難しいのです。法律的にいえば「ダメ」ですが、私は実務家ですから、実務的な対処の仕方を伝授いたしましょう。

荷物は売却の対象外
競売での売却では、売却の対象となるものは土地、建物などの不動産です。その中に置いてある家財などの荷物は「動産」といい売却の対象外となります。
 よって落札し取得した段階では「自分の所有となった建物の中に他人の荷物がある」という状態になります。仮にこの荷物の所有者をAさんとすると、法律的には「本件建物をAが空家の状態で動産類を残置して占有」ということになります。
 他人の動産だから勝手に捨てていいわけはありません。かといって取りに来るかどうかわからないのにそのまま待つわけにもいきません。


まず法律的には

 ステップ1
動産の所有者、わからない時には建物所有者を相手方に裁判所で引渡命令を申し立てます。
 ステップ2
  引渡命令が確定したら裁判所で債務名義をとり、執行官に強制執行の申し立てを行います。
 ステップ3
  執行官が催告のうえ強制執行を行います。このとき動産類は所有者の引き取りがなければ原則売却もしくは廃棄処分となります。

 これで無事終了ですが、時間がかかり執行費用もかかりますので、強制執行はできれば避けたいところです。


そこで実務的には

ステップ1
 動産所有者の移転先を探す

・ 移転先がわからない場合、郵便局に転居届けが出ているかもしれないので、まずその建物所在地を住所として手紙を出してみる。
・ 転居先不明などで手紙がもどってきたら、役所で住民票の請求をして移転先を確認する(引渡命令を申し立てるのに必要、と理由書を添付すれば発行してくれる)
 ステップ2
  居所がわかったら手紙を出すなり、訪問するなりして、動産が必要かどうか確認する。

 ステップ3
  必要な荷物をとってもらい、不要なものについては所有権放棄の書類を作って署名捺印してもらう。


それでも相手がつかまらない場合は、仕方がありません・・

?法的に強制執行手続きをとるか
?リスク覚悟で捨ててしまうか

ただし?をとったときに、後日動産所有者から損害賠償請求を受ける場合があります。実際判例でも賠償が認められているケースがあります。ガラクタだからと高をくくっているとえらい目に遭うことがあります。

?のケースを選択する場合は、立会人をつけ、写真、目録などを作成し、後日争いになっても戦えるだけの材料は残しておくことが肝要です。価値ある荷物がある場合はできれば古物商の業者さんに査定書などを作ってもらうとよいでしょう。

気が小さい方は時間と費用がかかっても強制執行しておくほう無難です。


余談ですが、キッチン、洗面台など造りつけのもの、カーポート、テラスなどは住物といって不動産に附属するものであり原則動産とはいえません。

ちなみに完全な空家でも、猫とか鳩とかが勝手に家に戻ってきたりしたときなど、動産が知らぬ間に増えていることもあるのでご注意を(笑)

(オフィスK 河村一良)
「競売で一戸建てを落札しましたが所有者が居住していて、立ち退くようにお願いしましたが出て行ってもらえません。どうしたらよいでしょうか?」
 裁判所に「引渡命令」の申し立てを行うことにより、強制執行をしてもらうことができます。


「明け渡しは自分で」が基本
裁判所の競売制度では、基本的に物件の明け渡しは買受人が占有者と交渉をして行わなければなりません。待っていれば自動的に裁判所が引き渡しの手続きを行ってくれるわけではありません。

とはいえ、交渉に行っても占有者がすんなり明け渡してくれるとは限りません。いやだと言われればなすすべがありません。まさか力づくで引っ張り出すわけにはいかないのですから。
また自分の所有になったからといって、実際に占有者が使用している場合は、買受人が勝手に鍵を交換するわけにもいきません。所有と占有は別物であり、不法占有といっても、買受人が実力行使をすることは許されていません。


引渡命令とは・・
「それじゃ、怖くて入札なんてできないよ」って言われそうですね。そこで買受人のために法律で定められているのが「引渡命令」の制度です。

引渡命令は、競売の買受人が代金納付手続き完了後に裁判所に対して申し立てをすることにより、裁判所から対象不動産の引渡しを占有者に命じてもらう手続きです。

この命令は裁判での判決と同等の効力をもち、相手方が受け取って1週間が経過すると確定し「債務名義」となり、それをもとに強制執行の申し立てを行うことができます。つまり国家権力を用いて強制的に引き渡しをしてもらう手続きなのです。


簡単な引渡命令の申し立て
 通常裁判所への申し立てというと、なにやら難しそうです。そして費用もかかりそうな気がします。
 ところがこの「引渡命令」は驚くほど簡単で、驚くほど安く申し立てることができます。
申し立ては雛形があります。A4版の紙1枚です。費用は収入印紙が500円分、そして送達してもらうための切手が2100円分(例外有り)。

 そして申し立てると通常2〜3日程度で発令され、相手のところに送達されます。占有者は普段裁判所からの手紙などあまり見ませんし、何かと思って開封してみると「本件不動産を申立人に明け渡せ」と文字どおり命令口調で書かれている文面をみてびっくりすること間違いないでしょう・・


命令効かねば、強制執行に
「立退き料で穏便に」も視野に
しかし中には引渡命令がきても「知らぬ存ぜぬ」を決め込む占有者もいます。そういった場合は伝家の宝刀「強制執行の申し立て」を行います。前述のとおり引渡命令が確定すると、それをもとに強制執行の申し立てをすることができます。申し立て先は執行官です。申し立てをすると執行官が相手方のところに出かけていって、明け渡しの催告を行います。そして定められた期限内に明け渡さない場合は、強制的に占有者を排除してくれます。国家権力は有難いが怖いものです。

ただし、この場合も費用がかかったり、相手に恨みをかったりします。ひどいケースでは強制執行当日に灯油を頭からかぶって、建物もろとも焼身自殺をはかった者もいます。占有者が出て行けない理由の大半は「移転の費用がない」ということです。できれば穏便に事を進めるために引越し費用を出してあげるなどの対応も考えたいものです。


対象とならない相手方もいるので注意を
 なお、引渡命令はすべての占有者を相手として発令されるものではありません。買受人に対抗できる権利(例えば抵当権設定の以前から賃借していた賃借人など)をもっている占有者には発令されないのです。このあたりは事前に物件明細書をよくみておくことが必要です。

 また引渡命令には使える期限があります。原則としては代金納付後6カ月(明け渡し猶予があるものは9か月)以内となっています。それを過ぎると申し立てできません。注意してください。

(オフィスK 河村一良)
「事件番号でヌとかケとかありますが、どう違うのですか?また開札の時に、執行官が取下とか取消とか言っていますが、どういう意味ですか?」
裁判所の競売手続きは民事執行法という法律に基づいて行われています。よって随所に法律用語が登場するのです。

ケは担保不動産の競売
ヌは強制競売
競売は大きく2種類に分かれます。1つは「担保不動産の競売」、もう1つが「強制競売」と言われるものです。
担保不動産の競売は文字どおり抵当権を設定している不動産について、その返済が約定どおりになされない時に債権者が抵当権を実行することでその債権を回収する場合に行われるものです。これは事件番号の記号でいうと「ケ」と記されます。

強制競売は債権者が債務名義の請求に基づき、債務者が所有する不動産を競売にかけてその債権を回収する場合の競売です。例えば無担保の消費者ローンが返済されない場合、ローン会社は貸金返還請求訴訟を起こし、その判決(つまり債務名義)に基づいてその債務者が所有する不動産を差し押さえて競売にて貸金を回収する場合などがこれにあたります。

不動産に対する競売は、その不動産そのもののみならず、その共有持分や登記された地上権や永小作権なども対象となります。


取下げになりやすいヌ号事件
ヌ号事件は先に述べたように抵当権に基づく競売ではありません。よって中には、競売にかけられた不動産を任意で売却すれば十分にその債務を返済することができるケースも多いものです。
そのような場合には競売が申し立てられても、開札までの間に返済がなされたり、任意で売却がなされたりで、途中で取下、つまり競売が取りやめになることが多いようです。


ダブル攻撃「併合事件」
 競売事件で、よく2つの事件番号が並んで併記されてあるのを見かけます。例えば、平成19年(ケ)第155号・平成19年(ケ)第210号などといった感じです。

これは2つの申し立て事件を一括して取り扱う場合です。例えば、A銀行が19(ケ)155事件で担保不動産を競売にかけていたが、その隣地を同じ債務者がもっていて、そこは違うB銀行が抵当権を設定している、などのケースです。

この場合、B銀行はその隣地を独自に競売の申し立てするわけですが、このとき裁判所
が「隣同士の2物件を一緒に売却した方買い手がつきやすい」と判断した場合などは、これら2物件を一括して売却にかけるのです。このとき2つの競売事件が1つにくくられます。これを「併合事件」といいます。


取消は再登場あり
取下は競売の取りやめ
一生懸命考えて入札し、待望の開札の日、会場にいくと「取下げです」とか「取り消しです」などと言われることがあります。

「取下」とは、債務者が返済をしたり、または任意売却が成立した場合などで、競売の手続き自体を債権者が取りやめをしたことを指します。「取下」の申請は開札直前までになすことができます。ようするに入札が締め切られたあとでも取下げになることがあり得るわけです。

ただし稀ではありますが、任意売買の場合で、とりあえず売買契約の段階で取下げてもらって、結果決済前にキャンセルになってしまうものも中にはあります。
この場合いったん取下の手続きをしたものについては、競売の続行はできず、再度一から競売申し立てのし直しをしなければなりません。

一方、「取消」は何らかの事情で一時的に競売の売却処分が取り消されただけで、事情が解消されたのちに改めて売却にかけられます。
事情とは、例えば、「裁判所の調査や評価に不備があった」「関係者の異議などにより再調査が必要になった」「3点セットに単純ミスの記載が見つかった」「債権者の都合により売却の時期を延期してもらう」などがあります。

つまり、取消物件は「しばらくしたら再度期間入札に登場する可能性が高い」が、取下物件は「再度登場することはほとんどない」といえるわけです。


「中止」物件は原則特別売却に
もうひとつ、開札で「中止」といわれる物件があります。中止とは「今回の期間入札による売却について、買受希望者がいないために中止する」という意味です。

そしてこれらの中止物件は、原則としてその後先着順で買い受け希望者を募集する「特別売却」にかけられることとなります。もちろん最低価である「買受可能価額」での買い受けが可能となります。中止物件は特別売却というまさに宝探しのステージに乗っかるわけです。

(オフィスK 河村一良)
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